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海龍王寺

旅行・留学の安全祈願なら。
写真提供:奈良市観光協会

【海龍王寺(かいりゅうおうじ)】

 

元は付近一帯を治めていた土師氏の氏寺(土師寺)でしたが、和銅3年(710年)に都が平城京に移されると、藤原不比等はここに邸宅を構えるため、土師氏から土地を譲り受けます。その際に取り壊されること無く、邸宅の北東隅に残されたこの寺は“隅寺(すみでら)”と呼ばれるようになります。養老4年(720年)、藤原不比等が亡くなり、娘の光明皇后が邸宅を引き継いだことから、邸宅は皇后宮となり、隅寺は“皇后宮内寺院”となりました。

 

この寺の初代住職となったのが“玄昉(げんぼう)”です。遣唐使として唐に渡っていた玄昉が帰途の海上で大嵐に遭遇した際、船内で“海龍王経”を一心に唱えたことで無事帰国し、天平7年(735年)に平城宮へ戻ってきます。聖武天皇と光明皇后は、玄昉から様々な意見を求めるため、皇后宮内にある寺の住持を任じ、海龍王経を唱え無事に帰国したとの話から、寺の名前も“海龍王寺”と定めました。

 

玄昉が暴風雨の海を渡り帰国したとの逸話により、現在では「旅行・留学・渡海安全祈願の寺」として、旅の無事を願う人々が全国からお参りに訪れています。ご本尊の前にはガラスの容器に入った7つの海の水が供えられており、旅の安全への祈りが日々捧げられています。

 

宗派:真言律宗
国宝:五重小塔
重要文化財:十一面観世音立像(ご本尊)/西金堂/寺門勅額 他

 

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