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高札場(奈良市)

江戸時代、奈良の町民はこんなルールを守らなければならなかった―

東大寺の北西、坂をのぼった台地一帯は奈良阪と呼ばれています。このエリアには旧奈良監獄や北山十八間戸、般若寺や奈良豆比古神社などの見どころが点在しています。

 

このうち、重要無形民俗文化財「翁舞」やクスノキの巨樹で知られる奈良豆比古神社の前に高札場が再建(復元)されています。

 

高札場は、江戸時代、奉行所が町民の日常生活を規制・統制するために守らなければならない事柄を木札に書いて掲げた掲示板のこと。現在の奈良市周辺には当時14ヵ所の御高札場がありました。

 

奈良阪の高札場は、奈良阪の歴史を後世に伝えるために、平成24年(2012年)に復元されました。再現された、「天和二年」(1682年)の触れ書きの一部を紹介します。

 

①忠孝をはげまし、夫婦兄弟諸親類むつまじく(略)若不忠不幸のものあらば可為重罪事
②利欲をかまへて人の害をなすべからず、惣て家業をつとむべき事
③喧嘩口論令停止之
④毒薬幷にせ薬種売買の儀、弥堅制禁之
⑤にせ金銀売買一切停止たるべし
⑥新作の慥ならざる書物商売いたすべからず
⑦捨子の儀御制禁候
⑧きりしたん宗門は累年御制禁たり
⑨諸職人(略)結徒党儀可為曲事

 

「わかる、わかる」というものから、「そこまでいうか?」というものも。
⑧の続きには、不審なものがいれば通報せよとあり、身柄確保された者が「ばてれんの訴人」なら「銀五百枚」、「いるまんの訴人」なら「銀三百枚」などが、「御ほうびとして、可被下之」とまで書かれています。
⑨はさしずめ労働組合を結成したらダメよということにも取れます。

 

現在でも、前近代的・封建的に感じる規則や、首をかしげたくなる校則などがたびたび話題になりますが、江戸時代の権力層による町民・庶民の統制支配は今以上だったでしょう。

 

奈良阪の高札場を見上げて、「これも禁止なの?」「これも守らないといけないの?」と、当時の町民の日常生活や心境を思い浮かべてみてください。


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