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芭蕉旧跡「綿弓塚」(葛城市)

最古の官道「竹内街道」を訪れて詠んだ俳聖松尾芭蕉の名句を刻んだ歌碑

中世、あるいはそれ以前の風情が今なおも残る竹内街道。大和と難波を結んだ我が国最古の官道のひとつとされています(ほかに「山の辺の道」も同時代に整備された最古の官道とされます)。その街道にある竹内峠の大和側麓は、現在、葛城市竹内。作家司馬遼太郎氏が幼少期を過ごした村(当時は竹内村)としても知られています。

 

そこを走る竹内街道の途中、開放された旧家ふうの建物があります(公衆トイレあり)。ここが、俳聖松尾芭蕉ゆかりの綿弓塚がある綿弓広場です。

 

綿弓塚は、芭蕉の「野ざらし紀行」(甲子吟行)に収められた句「綿弓や琵琶に慰む竹の奥」を記念する句碑。芭蕉の没後115年後の文化6年(1809年)に建てられました。

 

「綿弓」とは、綿を打つ道具で、弓に似た形状をしていて、弦をはじいて綿を打ちます。綿打ちは秋の作業であることから、秋の季語になっています。

 

芭蕉はこの地出身の門人である千里の案内で来訪し、當麻寺を参詣するなどしました。その後も数回訪れているらしく、足が向くお気に入りの土地だったのでしょう。歌碑の近くにある立て看板には、当地方で詠まれた芭蕉の句として、「綿弓や~」を含めて、

 

里人は稲に歌よむ都かな(芭蕉真蹟)
楽しさや青田に涼む水の音(芭蕉真蹟)
僧朝顔いく死かへる法の松(甲子吟行)

 

など、8句が紹介されています。

 

綿弓塚から竹内街道を少し西へ上がると、5台ほど停められる駐車場があり、竹内街道の散策時に駐車可能です。


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