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【重要文化的景観】奥飛鳥の文化的景観(明日香村)

現在奈良県唯一の文化庁選定「重要文化的景観」。棚田、大和棟の民家、綱掛神事など文化的価値を継承する暮らしが営まれています。

文化的景観とは、文化財保護法によると「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの」です。

 

中でも、特に文化的な価値が高く、地域で守り、次世代へ継承したいものを文化庁が「重要文化的景観」として選定。2019年10月16日時点で、全国65件あり、奈良県には1件、「奥飛鳥の文化的景観」が2011年9月21日に選定されています。

 

「奥飛鳥の文化的景観」の奥飛鳥は、飛鳥川の源流域を指し、稲渕、畑、栢森(かやのもり)、入谷の4大字があります。いずれも小規模な集落ですが、家屋を支える石積みが設けられ、急傾斜の茅葺き屋根と緩傾斜の瓦葺き屋根を両有する「大和棟」の民家が点在する独特の集落景観が形成されています。また、稲渕には大規模な棚田が広がり、一年を通して豊かな情景を見ることができます。

 

奥飛鳥は、『日本書紀』で皇極天皇(後に重祚して斉明天皇)が雨ごいを行い、あまねく潤いをもたらしたとされる地域で、早くからムラが成立していたといわれています。現代でも飛鳥川と強く結びついた生活が営まれていて、それを示す風習として「綱掛神事」がよく知られています。これは、飛鳥川に「男綱」(稲渕)と「女綱」(栢森)を渡し、悪疫が川伝いに侵入してくるのを守護するもので、五穀豊穣と子孫繁栄が祈願されます。

 

「奥飛鳥の文化的景観」は、地域の自然環境を享受して、古来連綿と暮らしを営んできた人々によって守られ、継承されています。
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