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ニホンオオカミの像(東吉野村)

ニホンオオカミの最後の捕獲地となった東吉野村

人間活動が引き起こした自然環境の変化などによって絶滅したと考えられている野生動物がいます。ニホンオオカミもその一例です。

 

19世紀には日本各地にいたとされるニホンオオカミですが、徐々に姿を消していきました。そんな折、1905年(明治38年)1月のこと。東吉野村の鷲家口に滞在中の動物学探検隊員(英国ロンドン動物学会とロンドン自然史博物館が企画)が日本の野生動物を収集していると知った村の猟師が、ニホンオオカミの若雄を持ち込みました。頭と胴をあわせて91.4㎝、尾は34.0㎝と記録されています。猟師と隊員の間で売買価格の折り合いがつき、このニホンオオカミは海を渡り、今でも英国ロンドン自然史博物館に頭骨と毛皮が保存されています。
このときのニホンオオカミが記録に残る日本最後のニホンオオカミになってしまいました。

 

そこで1987年(昭和62年)、東吉野村は、まだ山のどこかで生きているかもしれない雄姿に思いを馳せ、また、自然愛護を願って、等身大のブロンズ像を建立しました。

 

川を背に、山に向かって立つニホンオオカミの像。今にも聞こえてきそうな遠吠えは、仲間がいなくなった悲しみより、ニホンオオカミは確かにここにいたんだぞという存在の主張の叫びにように思えます。

 

もしも、東吉野村の山中でオオカミの気配を感じたら、像のモデルになった若雄の子孫かもしれません。ぜひご一報を―。


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